KANSEIサロン

■ 11月20(水)KANSEIサロン

ひろしま感性イノベーション推進協議会主催の、2019年度KANSEI”感性”サロンに参加しました。

ひろしま感性イノベーション推進協議会は、人間のもつ“感性”という新たな価値軸を活用した製品の差別化による高収益構造の実現に向け,人間工学や感性工学を取り入れたものづくりを推進することを目的としています。

今回のイベントは、「”感性”の解明手法、地元企業の取組の最前線を紹介」と言うテーマで行われ、大変興味深い講演を聴くことができました。

【講演1】

演題   「真実は脳に聞け。Neuro Analytics Solutionの今」

講師   (株)電通サイエンスジャム 取締役 木幡容子 氏

内容

電通サイエンスラボ(DSJ)では、完成把握技術を活用したビジネス開発に取り組んでいます。

ところが、これまでの感性把握手法と言えば、アンケートやグループインタビューによるもので、本音が聞けなかったり、声の大きい人に意見が引っ張られたりする傾向がありました。そこで、注目されているのが、生体信号を用いた客観的感性の把握手法です。

生体信号には、脳波、呼吸、眼電位、心電心拍、皮膚電位などがありますが、DSJでは、「脳波」の研究に力を入れています。

過去18年の研究を通し、脳波の周波数と感性の間に強い相関があることが分かっています。単純にα波が高いとリラックス、β波が高いと集中/緊張と言った、帯域による判断だけではなく、周波数同士を組み合わせてみることでさまざまな感性を把握することが可能になってきました。

脳波を計測するとなると、電極が沢山ついた大掛かりな物を想像しますが、DSJでは「感性アナライザ」と言う、簡易型評価キットを実用化しています。

このキットでは、「集中度」「快適度」「嫌度」「興味度」「食べたい度」「爽快度」「沈静度」「ワクワク度」「眠気度」「ストレス度」「ネガポジ度」「活発度」「好き度」の計測が可能です。

こう言った、感性の数値化は、既に多くの商品開発に活用されています。

・「疲れにくい」タイヤ

・「幸せを感じる」カレー

・「リフレッシュする」お菓子

・「ストレスを軽減する」家

・その他

今後は、介護分野や教育分野にも活用が広まっていくものと期待されます。

 

【講演2】

演題   「物理・知覚・感性の対応付けに着目した質感へのアプローチ」

講師   感性AI(株) 取締役COO 坂本真樹 氏

内容

言葉の中には、「コンコンとドアをノックする」のような擬音語と、「のろのろと歩く」のような擬態語と、「さらさらと流れる」のような擬音語でも擬態語でもないオノマトペがあります。

人間は、何かの物理的特徴を見て/感じて、その知覚/感覚をオノマトペで表現します。従って、オノマトペを定量化すれば、個人の感じ方の違い(感性・主観など)が分かるようになります。また逆に、物理特性を入力することで、新たなオノマトペの生成が可能になります。感性AI株式会社では、心理物理実験結果と個人プロファイルを用い、オノマトペを通したモノづくりの支援を行っています。

例えば味覚の中の「とろみ」を表現する言葉として、「とろーり」、「とろとろ」などがよく知られていますが、研究によると、「まろーり」、「まろまろ」などが、新たな「とろみ」の表現となりうることが分かってきています。

また、「もふもふ」と言うオノマトペは柔らかさを表現しますが、「ふわふわ」と比べると、「暖かさ」「マイルドさ」「丈夫さ」「鈍さ」などの印象が強い時に使われるようです。

例えば、店頭でお客様が、「もっともふもふしたものが欲しい」と言われても、これまでは曖昧すぎて理解不能でしたが、各オノマトペの持つ意味を定量化することで、ニーズが的確につかめ、より的を得た製品開発が可能になります。

感性AI株式会社では、蓄積した感性情報と分析技術により、

・新商品などのネーミングアイデアの評価

・お客様の要望ことばから、最適商品の提案

等のサービスも行っています。