特別委員会現地調査

■ 11月26日(火)現地調査@ホーチミン

産業競争力強化・外国人材受入対策特別委員会メンバーの内7名と、議会事務局員の2名の総勢9名で、26日:ホーチミン(ベトナム)及び27日:深セン(中国)の企業を訪問し、実態の調査を行いました。

①(株)ユニクロベトナム生産事務所

現在ファーストリテイリング(FR)では、ホーチミン、ダッカ、上海、ジャカルタ、バンガロール、イスタンブールに生産事務所を持っています。

生産パートナーは約70社であり、全体の約7割が中国で生産されています。これに対し、アジア諸国での生産を拡大することで、中国での生産集中リスクの軽減を進めています。

ベトナムでは、2007年から契約工場で生産を開始しました。

服つくりは、自動化が難しく、いわゆる労働集約型の産業です。また、今後自動化が進んだとしても、半自動化が精いっぱいで、人間のサポートは必ず必要とされています。

ベトナムの求人倍率は、約1.6倍。特にホワイトカラーの賃金上昇率は10%/年程度であり、$1000/月にも近づいています。

一方で、工場で働く人たちの賃金は、約$300であり、二極化が進んでます。

ベトナムの労働者は、20代が多く、手先が器用で、物覚えも良く、したたかさもありポテンシャルが高いと言えます。一方で、ロイヤリティが弱いところもあります。

日本に留学してる学生は、将来的にはベトナム工場の幹部候補と言えます。

新たに工場と契約するときは、品質意識が高く、しっかりとしたビジョンを持った長くお付き合いができるパートナーを選ぶようにしているとのことでした。

 

②エスハイ株式会社

ベトナムにおいては、台湾、UAE、韓国、日本で働くケースが多いが、中でも日本が一番人気。

エスハイは、技能実習制度を利用して日本で働くための準備を行う人材教育を行っています。

創業は2006年、従業員は260人、在校生は約3400名。

エスハイは、他の送り出し機関とは異なり、日本語の教育を徹底的に行います。これは、技能実習生として日本に行った後の成長を考えた場合、日本語によるコミュニケーションができることが一番重要と考えているからです。

また、研修費用も低めに設定して、借金(研修費用の)返済が技能実習の目的にならないですむようにしています。

実際に研修を行っている学生達は、非常に元気で活気にあふれていました。また、研修を始めて半年程度でも、日本語で自己紹介や、簡単な会話ができるレベルになっており驚かされました。

 

■ 11月27日(水)現地調査@深セン

私の知っている中国は、約10年前の長春で、当時の印象では、「中国は日本から数十年遅れた、昭和の日本のイメージ」でした。

ところが、今回深センを訪問し、そのイメージは完全に払拭されました。

空港のバカでかさ、立ち並ぶ高層ビル、小綺麗な若者たち、 走り回るBYDの電気自動車のタクシー、 よく整備された道路、顔認証が使える自動販売機、などなど。

深圳市は香港の新界と接し、中国屈指の世界都市であり、 人口は約1300万人 。 経済特区に指定されており、ファーウェイ、テンセント、BYD、ZTE、DJIなど、著名な中国ハイテク企業が本社を構えています。電子機器の製造が盛んなことから「中国のシリコンバレー」「ハードウェアのシリコンバレー」等とも呼ばれています。

 

③京セラ(中国)イノベーションセンター

京セラは、 京セラの技術リソースを現地のスタートアップ企業などに提供し、イノベーションへの取り組みや新規ビジネスの創出に繋げる ために、深セン市に「京セラ(中国)イノベーションセンター」を4月に開設しました。

今後、5Gが社会インフラの根幹となったとき、通信アプリの高度化やADASの高度化、遠隔操作など、これに関連する多くのビジネスが生まれています。

そして、今後もっと重要になってくるのは、「今予測できない何かをいかに早く見つけるか」であり、それこそがとんでもなく大きなビジネスチャンスにつながるの可能性を秘めているかもしれません。

京セラでは、京セラの持つ技術リソースを活用できる、5つの新技術テーマを定め、新規ビジネスの創出に取組んでいます。

・血流センサー

・EV用ヒーターとペルチェ

・細胞分離・濃度計測デバイス

・インクジェット印刷ヘッド

・HAPTIVITY

④Huawei(ファーウエイ)

Huaweiは、1987年に深センに設立された、従業員持ち株制による民間企業です。上場をすると、配当などで株主に還元が必要となるため、上場をせず、売り上げの約10%をR&Dに投資しています。

2018年の売り上げは、約12兆円で、約5割が 中国市場で、また約5割がコンシューマー向けです。なお、中国市場でのスマホのシェアは約4割を占めています。

一方でHuaweiは5G 関連の特許を世界で最も多く保有していることなどから、アメリカに危機感を与え、米中貿易戦争の火種となっています。

Huaweiの5G基地局は、台風が多い日本の気候に考慮した耐久性を持たせているだけでなく、設置作業が少人数で可能なように軽量化を行っています。

Huaweiでは、5Gを活用することで、多くの産業のGDPが拡大すると見込んでいます。

 

➄DJI

DJIは世界最大のドローンメーカーで、世界でのシェアは70%を超えます。

とは言え、ドローンそのものを発明したわけではなく、様々な技術を統合することで新たな価値を創造してきました。

DJIはローエンドの基本技術の革新ではなく、シリコンバレーの企業の様に迅速に良い技術を見つけ出し、その市場化を図り、ビックビジネスに育ててきたところが特徴です。

深センでの調査は、非常に刺激的でワクワクするものでした。

それと同時に、正直な気持ちとして、

「やばいぜニッポン!」