委員会県内調査

■ 8月24日~25日 建設委員会県内調査

この7月から、新たに所属することになった、建設委員会の県内調査に参加しました。この内、主なものについてご紹介します。

① 八木3丁目(303渓流)事業

平成26年8月19日夜から20日明け方にかけて、広島市を中心とする地域は、積乱雲が連なる「線状降水帯」による集中豪雨に見舞われました。

安佐北区、安佐南区を中心に土石流:107渓流、がけ崩れ:59箇所が発生し、関連死を含めて77名が亡くなりました。

この対応として、国、県、市は被災が著しい渓流など、緊急的に対応が必要な57箇所とそれ以外の42箇所定め、砂防堰堤や治山ダムなどの緊急事業に着手しました。

そしてこの度、 全99箇所の工事が完了したのに合わせ、安佐南区八木3丁目の303渓流工事現場を視察し、工事にあたり工夫した点などについて調査を行いました。

主要なものとしては、

・地域住民の皆さまに寄り添いながら事業を実施

 犠牲者を追悼し、災害の記憶を継承するとともに、防災減災に向けた地域の絆を深めるための行事などに参加。

・地域住民の皆さまとのコミュニケーションの確保

 事業の各段階ごとに地域住民の皆さまへ工事の進捗状況などの説明をし、情報共有。

・ICT活用による工事の生産性向上の取り組み

 ドローンで現場の3次元データを作成し、そのデータをもとに重機をコントロールするなどの取り組み実施。

・地域の生活環境に配慮

 現場で発生する土砂にセメントを混合し、締め固めて砂防堰堤を建設することで、土砂運搬のための住宅地内の大型車両の通行量を低減。

②一般国道 191号 災害対策等緊急工事

平成30年6月6日の前日からの雨により、安芸太田町津浪の191号線で崖崩れが発生し、1名が亡くなりました。

崩壊規模は、高さ:25m、幅:10m、流出土砂200㎥。

この工事では、法面の更なる崩壊を防ぐために、「グランドアンカー工法」が使われました。

グランドアンカー工法とは、法面の深部の岩盤にアンカーを定着させて、引っ張り鋼材により地表面の崩れやすい地盤と一体化し、法面崩壊を防ぐというものです。

下の写真の様に、当該箇所の工事は完了していますが、周辺に同様の崖がたくさんあります。災害が起きてからではなく、未然に危険度を予知して対策する様な方法を考える必要がありそうです。

③温井ダム(事前放流について)

温井ダムは、太田川水系滝山川に設置された、アーチ形のコンクリートダムで、総貯水容量は82,000,000㎥。

ダムの機能は、

・洪水調整

 放流量を調整し、太田川の沿川の洪水軽減を図る

・農業用水の補給

・水道用水の供給

 広島市、呉市等の都市部及び瀬戸内海の島嶼部まで供給

・発電

 温井ダム直下で、中国電力(株)が、最大2300Kwを発電

この内洪水調整としては、 一般的に以下の放流操作を行います。

・水位維持操作

 ダムへの流入量と同じ量を目安として放流し、ダムに水をためないようにする

・防災操作

 ダムへの流入量が一定量を超えた場合、規模に応じて洪水調節容量内に貯め、ダム下流の被害を軽減する

・異常洪水時防災操作

 ダムに貯められる容量(洪水調節容量)が一杯になると予測されたとき、ダムを守るために、流入量をそのまま放流する

・後期放流

 次の大雨に備えて、洪水調節容量を確保するために放流する

これに加え、昨今の豪雨災害の頻発に端を発して、令和元年6月から、「事前放流」を行っています。

「事前放流」とは、ダム下流の河川の沿川における洪水被害の防止・軽減を狙い、ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用できるように、ダムの利水容量などの一部を事前に放流し、洪水調節に活用すると言うもの。

広島県の管理するダムにおいても、順次「事前放流」の協定が締結されています。

④本郷取水場

平成30年7月5日からの豪雨により、7日午前6時頃、沼田川の氾濫した水が、本郷取水場の防潮扉を越流し、場内に流入、送水ポンプなどが水没し、送水が出来なくなりました。

懸命の復旧作業の結果、14日には通常の50%、16日には通常通りの送水を再開することができました。

この間、断水により多くの方にご迷惑をおかけしてしまいました。

この対策として、防潮扉の嵩上げ、外周壁の嵩上げ、電気設備の上層移設、非常用自家発電装置の上層移設、ポンプ棟の水密化が行われました。

水は日常生活や社会経済活動に不可欠なものです。

災害時においても、安定供給が必要であり、そのための必要十分な対策がなされていると感じました。