委員会県外視察

■ 10月20日~22日 建設委員会県外調査

 建設委員会で、静岡県の取り組みについて調査を行いました。

 静岡県は、人口が約363万人で全国10位の規模(広島県は約280万人で、全国12位) ですが、 i-Constructionに最も積極的に取り組んでいる県の一つと言われています。

 i-Constructionとは、国交省が掲げる土木建設領域の生産性革命プロジェクトの一つで、測量から設計、施工、検査、維持管理に至るすべての事業プロセスでICTを導入することにより、建設生産システム全体の生産性向上を目指す取り組みです。

 静岡県では、2016年時点で、県や市町が請け負う公共工事の割合が9割以上を占めているにも関わらず、建設業就労者の半分以上が50歳を超えており、10年後には多くの熟練技術者が大量退職してしまうという危機感から、この取り組みが開始されました。

 そして取り組みのポイントの一番目は、地場の中小企業が円滑にICTを活用できるように県独自の支援がされているということです。

具体的には、国交省の基準では大規模工事を対象としており、実態に即していないとの参加企業の意見を反映し、これさえ見ておけばOKとなるような、シンプルな中小企業向けの「ICT活用工事ガイドライン」を作成されました。

 二番目のポイントは、ICT建機の施工履歴を活用した現場管理手法の導入です。

例えば、従来は川底の浚渫作業を行った後、最終的に狙い通りに浚渫が行われたかを計測することで、作業の完了を確認していました。これに対して静岡県では、ICT建機が作業をした履歴さえあれば、計画通りに作業結果も出るものだと判断し、最終的な計測や検査の手間を省けるようにしました。

 そして、三番目のポイントは、建設業者間でのICT普及啓発活動の取り組み推進です。

これは、ICTを既に導入した企業が、新たに導入する企業に対して指導やノウハウの伝授を行った場合、総合評価落札時に加点されるという仕組みで行われています。

 これらの取り組みの結果、平成28 年には年間13件しかなかったICTを活用した工事が、令和元年には122件まで急増させることができました。

また、従来施工比、以下の様な効果があったとのことです。

・作業時間短縮:約27%削減(土木の全体作業時間)

・省人化:約35%削減(補助作業員が不要になるなど)

・安全性向上:約75%削減(建機と作業員の交錯作業)

広島県としても見習うべきところが沢山あることがわかりました。